終戦から9年半、日本はまだ暗いトンネルの中にいた
1945年(昭和20年)8月15日正午、日本国営放送のラジオから昭和天皇裕仁の声が聞こえてきた。大半の国民は内容を理解できなかったが、連合国から示された日本の無条件降伏を求めるポツダム宣言の受諾を決定する旨を伝えた終戦の宣言だった。
この日を境に日本は変わる。焼け跡に人が溢れ、闇市が軒を並べ、並木路子の歌う「リンゴの唄」が街に流れた。国家に滅私奉公する戦時下の重く暗い空気は消え去り、人は自由と活気を取り戻すはずだった。しかし、玉音放送から15日後、米陸軍元帥のダグラス・マッカーサーが厚木飛行場に到着。彼を頂点とするGHQ(連合国軍最高司令部)が設置され、日本はアメリカの占領下に置かれる。
本書は終戦から占領期、1952年4月28日発効のサンフランシスコ平和条約による国家独立を経て、その後の高度経済成長の幕開けとなる神武景気が始まる1954年12月までの約9年半に起きた30の怖い事件の詳細を記した1冊である。日本がまた暗いトンネルの中にいたこの時代、巷では現在の常識とはかけ離れた凶暴で陰惨な犯罪が繰り返されていた。
<CONTENTS>
第1章 一家皆殺し
和歌山一家8人殺害事件……「姑いじめ」をした兄嫁への恨みを募らせた凶行
片岡仁左衛門一家殺害事件……住み込みの“作家見習い”が起こした惨劇
長野県市田村一家7人殺害事件……薪割り用の斧で撲殺し玄米4俵を強奪
一勝地村農家6人殺害事件……出稼ぎの朝鮮人3人が帰国する金欲しさに
小田原一家5人殺害事件……覗きを注意されたことを逆恨みし惨殺
栃木雑貨商一家殺害事件……村の青年団長が母親の白内障手術費用のために
青森県新和村一家7人殺害事件……「杉沢村伝説」の由来となった大量虐殺
徳宿村一家9人毒殺放火事件……保健所職員を騙り凶行に及んだ犯人が服毒自殺
第2章 戦慄
小平事件……食料、就職難に付け込み7人の若い女性を強姦・殺害した“性獣”
寿産院事件……乳児169人を衰弱死させた「貰い子ビジネスの闇」
岡田更生館事件……模範的福祉施設を装った、この世の生き地獄
おせんころがし事件……母子4人を虫けらのごとく崖から投棄
第3章 占領下の深き闇
帝銀事件……警察が旧731部隊関係者への捜査を中止した本当の理由
国鉄三代ミステリー①下山事件……国鉄総裁の死は他殺か自殺か
国鉄三大ミステリー②三鷹事件……無人電車が暴走し6人が死亡
国鉄三大ミステリー③松川事件……昭和天皇がGHQの犯行として言及
日航機「もく星号」墜落事件……米軍はなぜ「全員救助」の誤情報を流したのか?
第4章 アプレゲールという名の破滅
光クラブ事件……ヤミ金を起業したインテリ東大生の栄光と転落
金閣寺放火事件……若き修行僧はなぜ国宝に火を放ち自殺を図ったのか?
日大ギャング事件……アメリカかぶれの19歳が発した「オー・ミステーク」
築地「八宝亭」一家殺人事件……真犯人は第一発見者の店の見習いコック
バー「メッカ」殺人事件……慶應大学卒の元証券マンが起こした愚かな犯行
カービン銃ギャング事件……元保安隊員の男と元東映女優の逃亡劇
第5章 震撼
住友令嬢誘拐事件……良家の子女ばかりを連れ回した男のいびつな欲望
菅野村強盗殺人・放火事件……犯人は戦後初の女性死刑囚に
八海事件……老夫婦殺害犯がついた嘘がもたらした冤罪の恐怖
荒川放水路バラバラ殺人事件……小学校女性教師が現職警察官の夫を絞殺
徳島ラジオ商殺し事件……内妻の濡れ衣が晴れるまで実に31年
文京区小2女児殺害事件……学校のトイレで起きたヒロポン中毒者による惨劇
人違いバラバラ殺人事件……惚れた女性に似た全くの別人女性を絞殺
- 発売日 : 2024/11/27
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 256ページ
- ISBN-10 : 4865372881
- ISBN-13 : 978-4865372885
- 寸法 : 18.8 x 12.8 x 1.6 cm